【書評】アガサ・クリスティの代表作を読んでの感想と点数
ミステリーの第一人者と言えば真っ先にアガサ・クリスティが思い浮かびますが、私はその作品のタイトルこそきいたことがありましたが、これまで読んだことはほとんどありませんでした。
過去に唯一読んだことのある作品は『検察側の証人』でした。この作品は映画化もされた作品で(邦題『情婦』)、大学の授業で原文を読まされました。意外性のある物語とシンプルで無駄を感じさせない文章が印象に残っています。
- 作者: アガサ・クリスティー,加藤恭平
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
この年末年始にアマゾンでアガサ・クリスティ作品のkindle版全品半額キャンペーンが開催されていたため、いい機会だと思い代表的な作品を何冊か読んでみることにしました。どの作品を読むかは結構念入りに吟味したので、初めてアガサ・クリスティを読むには適切なチョイスだったと思っています。
以下、忘備録的な点数と一言感想です。
ポアロ作品
ショーロックホームズと並ぶ世界で最も有名な探偵の一人。ベルギー出身のフランス語ネイティブであり、「外国人」としてイギリスで生活しています。少々「鼻に付く」性格をしていますが、そこが逆に作品の魅力になっているようにも思います。
『アクロイド殺し』 6点
- 作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,羽田詩津子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/12
- メディア: 文庫
- 購入: 20人 クリック: 140回
- この商品を含むブログ (136件) を見る
この作品に関しては少し事前情報が入ってしまっていたので、この人が犯人なんだろうなあと思いながら読んでいました。「でも一体どういうトリックで?」とそこが楽しみだったのですが、肝心のそのトリックはやや反則気味でした。またラストのポアロのとった行動には唖然としました。江戸川コナン君の爪の垢を煎じて飲ませてやりたい気持ちになりましたが、何が正義なのかを考えさせるラストともいえます。
ただ、私はこの作品の淡々とした語り口が好きです。たとえネタバレしているとしても読む価値は十分あると思います。
『オリエント急行の殺人』 8点
- 作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,山本やよい
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/04/05
- メディア: 文庫
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
この作品もアクロイド殺しと同様に非常に有名な作品ですが、私は幸いにもネタバレなしで読むことができました。ポアロが謎を解いていくシーンのドキドキ感、臨場感は今回読んだクリスティ作品の中で一番でした。
この作品は全く無駄なところがない完成された作品です。たった8作しか読んでいない人間がいっても説得力はないですが、アガサ・クリスティの最高傑作だと思います。
『ABC殺人事件』 3点
- 作者: アガサ・クリスティー,堀内静子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/11/11
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 96回
- この商品を含むブログ (72件) を見る
名前のイニシャルの順に互いに無関係の人が殺されていく有名な作品。ただ、『アクロイド殺し』や『オリエント急行の殺人』といった画期的な作品を読んだあとだったので、少し霞んでみえました。
『五匹の子豚』 7点
- 作者: アガサ・クリスティー,山本やよい
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/11/10
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
16年前に起こった殺人事件の深層を関係者の証言から解き明かしていく回想ミステリー。犯人の動機という点ではいこの作品が最も印象深いです。非常に残酷な物語です。
ミス・マープル作品
ポアロに次ぐクリスティ作品における有名な探偵で、温厚なおばあさん。『名探偵コナン』の「集められた名探偵」(烏丸蓮耶の話)で犯人だった千間降代のモデルと言ったらわかりやすいかもしれません。
『火曜クラブ』 2点
- 作者: アガサ・クリスティー,中村妙子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
ミス・マープル実質的な初登場作の短編集。毎回毎回話をきいただけで小気味よく犯人を当てていくのは爽快ですが、短編であるがゆえ一つ一つの物語の印象は薄いです。
その他
『そして誰もいなくなった』 5点
- 作者: アガサ・クリスティー,青木久惠
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/11/10
- メディア: 文庫
- 購入: 17人 クリック: 42回
- この商品を含むブログ (67件) を見る
ポアロやマープルといった有名探偵は出てきませんが、タイトルだけは誰もが知っている超有名作。タイトル通り無人島にやってきた10人が順番に死んでいくのですが、最後の1人が死ぬシーンにはゾクゾクしました。
『春にして君を離れ』 7点
- 作者: アガサ・クリスティー,中村妙子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
- 購入: 1人 クリック: 57回
- この商品を含むブログを見る
非ミステリーもので、殺人事件などの特別な事件は何も起こりません。独善的な中年女性が、何もすることのない旅先でこれまでの自分の人生を初めて振り返り、本当に自分は幸せだったのか自問自答するだけの話です。ただ、その女性の内面描写は巧みで、最後のどんでん返しもさすがです。
最後に
以上が私の読んだクリスティ作品です。アガサ・クリスティの作品は今読んでも全く色褪せることのない傑作ぞろいでなので、一度も彼女の作品を読んだことのない人はぜひ読んで欲しいですね。
以上
俺は『NARUTO』に王道少年漫画の完成系をみた
序論
日本のアニメや漫画は途上国においても大人気で、その筆頭が『ドラゴンボール』、『ワンピース』そして『NARUTO-ナルト-』であることは周知の事実です。
途上国で生活する日本人としては読んでおかないといけないなあと思い、少し前に『NARUTO』を読みました。3日ぐらいで一気に全巻読破しました。
※以下多少ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
- 作者: 岸本斉史
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2000/03
- メディア: コミック
- 購入: 3人 クリック: 28回
- この商品を含むブログ (84件) を見る
感想を一言で言うと最高に熱く面白い漫画でした。
もちろん最初から最後まで文句なく面白かったわけではありません。72巻という長さのせいもあり、後半は読み進めるのもしんどかったです。早く次が知りたいというよりも、早く読み終わりたいという気持ちでページをめくりました。
特に、死者を蘇らせる技でこれまで死んだキャラが総登場したところは少しげんなりしましたね。また、最後の展開は大味すぎて何かよくわからないことになっていました。
それでも72巻もの長い作品を一気に読み通すことができたのは、『NARUTO』が「気持ちよく」読める漫画であったことにあります。ハッピーエンドに突き進んでいく安心感のようなものがありました。
そして、全体が大きな物語としてまとまっているので、読み終わったあとの満足感は非常に大きかったですし、部分部分をみても、もう一度読み返したくなる名シーンがたくさんありました(マイベストは我愛羅とロックリーの中忍試験での一戦です)。
本論
さて、ここからが本題です。
私は『NARUTO』を読破する少し前に『荒木飛呂彦の漫画術』を読んでいました。
- 作者: 荒木飛呂彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/04/17
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (30件) を見る
ここに書かれている王道漫画のマニュアルを『NARUTO』は忠実に守っていることに気がつきました。いや、ただ守っているだけでなく、私は『NARUTO』を読みながら、これこそが王道少年漫画の完成系だと感じられたのです。
どういうことか、『荒木飛呂彦の漫画術』を引用しながら具体的にみていきましょう。
明確な動機
一番大事なのは「動機」です。主人公は何をしたい人なのか、その行動の動機をはっきり描かないと、キャラクターというものは出来上がっていきません。
ナルトの一番の動機は「火影」になることです。このことは1巻の冒頭で語られ、一貫してナルトの目標であり続けました。そして、最後に火影になって物語が完結しています。
週刊雑誌の人気漫画となると、なかなか終わらせることができないので、引き伸ばし継ぎ足しをするなかで、冒頭の動機とは全く違う方向に進んだりすることがしばしばですが、『NARUTO』は72巻という長大な物語にも関わらず、最後まで動機がぶれることがありませんでした。
孤独な主人公
主人公は「善なるもの」であり、さらに「ヒーロー」である必要があります。ここでヒーローの条件が何かと言えば、実は、孤独である、ということです。究極の選択を迫られたとき、それは主人公だけが解決できる、というものでなければいけませんし、自分の力でその難問を解決しなければならない主人公の立場は、どうしても孤独にならざるを得ません。
最終的にナルトは孤独でなくなりますが、化け物を身に宿しているナルトは周囲から疎まれ、孤独に生きてきました。また、戦いの中でも自分の運命を受け入れ、孤独に戦おうとします(もっとも、『NARUTO』は「孤独からの脱出」がテーマになっているので、他のキャラがその孤独に戦う姿に感化され、微力でも協力しようとするのですが)。
常にプラス
少年漫画は、常にプラス、プラス、プラス……と、ひたすらプラスを積み重ねて、どんどん上がっていく、これがヒットするための絶対条件です。
ナルトはまさに常にプラスの存在です。ドンドン強くなっていきますし、途中で負けることも落ち込むこともほとんどありません。だから気持ちよく見ることができるのです。
ドンドン強くなっているにも関わらず、かつてのバトル漫画にありがちな極端なインフレも起こしませんでした。前半に登場した強キャラがあとから見返すとゴミのようなキャラに見えてしまう『ドラゴンボール』や『幽遊白書』といった過去の名作の失敗から学んでいます。
脇役が魅力的
脇役キャラクターの基本的な動かし方としては、その欠点にあたる部分を克服していく。たとえば、孤独で友人ができないタイプの脇役がいたら、徐々に友達ができる、そういう部分で読者の共感を呼ぶようにします。敵役であれば、最初は敵対するけれど、次第に主人公と友達になる、というパターンが常道でしょう。
『NARUTO』は脇役が魅力的です。引っ込み思案なヒナタ、忍術の才能のないロックリー、めんどくさがり屋のシカマル、大食いのチョウジなどそれぜれ欠点のあるキャラがそれを克服していく姿に共感できるからでしょう。
そしてナルトには本当の意味での敵はいません。情状酌量の余地のある敵ばかりなのです。再不斬、我愛羅、長門、大蛇丸、カブト、オビト、そしてサスケとみな最後には改心しています。そこが読後感の良さにつながっているように思います。
個性的な絵
漫画の絵で大切なのは、一瞬見ただけでも誰の漫画かすぐわかるように描くことだ、と確信しました。絵も筆跡と同じで、個性は誰でも自然とにじみ出てくるものです。しかし、その上を行くデザインや雰囲気が漫画の絵には絶対に必要なのです。
『バクマン』の中でも言われていますが、岸本先生の絵は上手いだけでなく、パッと見てそ岸本先生の絵とわかるパワーがあります。
強力なテーマ
テーマが漫画に限らず映画や小説、テレビドラマでも、名作と呼ばれるものには、その背後に必ず強力な「テーマ」が存在しています。
ナルトのテーマは「愛」、もう少し付け加えると「愛が孤独を救う話」だと私は思います。ナルトが世界中で親しまれているのは、こういった普遍的なテーマを持っているからこそでしょう。
【歴代最強投手陣】プロ野球選手でローテーション組んだwww
7月に記事を更新して以降少しバタバタしていたこともあり、ブログを全く更新できていませんでした。
一度離れるとなかなか見る気になれないもので、気がついたら約半月もブランクがあいてしまっていました。
そのままフェードアウトしそうになりましたが、ちらりとブログをのぞいてみると、意外なことに1日平均100アクセス以上に増えていました。
それをみて少し気をよくし、とりあえずまた再開してみることにしました。
ちなみにアクセスが中断前よりむしろ増えていたのは、以下の記事に対して検索流入が大きかったようです。
こんなノートの落書きのような記事に人か集まることからも、はてなブログの検索における強さを感じ、少し恐くなります。
ただ、せっかくなので二匹目のドジョウねらいで、今日は最強の投手陣を夢想したいと思います。
ちなみに、起用法はパワプロ脳でお送りましす。
続きを読む『ドラゴン桜』に学ぶ底辺校からの大学受験失敗
- 作者: 三田紀房
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
先日ふと思い立ち、『ドラゴン桜』を全巻一気読みしました。
非常に有名な作品なので説明をするまでもないかもしれませんが、簡単にストーリーを紹介すると、「経営破綻した底辺高校の運営問題を請け負った弁護士が、経営改革のために高校の進学校化を掲げ、2人の生徒を1年で東大に合格させようとする話」です。
今から約10年前の作品で、「東大は簡単だ!!」というセリフや独創的な勉強法などが話題となり、ドラマ化もされました。
私は高校生の頃にそのドラマを観ましたし、マンガも途中までは読んでいました。地方の普通公立高校から某1流大学への進学を目指していた私は、東大を目指す落ちこぼれ生徒の姿に自分を重ね合わせ、やる気を高めていたものです。
ただ、結局マンガのようには上手くいかず、私は受験に失敗し、後期試験で受かった3流の大学に進学しました。模試では余裕でA判定だったにも関わらず受験に失敗したことで、当時は自分の不運を嘆いたりもしました。
しかし、今回『ドラゴン桜』を読んでいると、受験生当時の自分の行動の多くが、典型的なダメな例として挙げられていることに気が付きました。落ちるにはそれなりの理由があったようです。当時気づければよかったのですが、私には後になってしか解らないことでした(気づきながらも実践できなかったということも多々ありますが)。
ということで、自分への戒めとしてそのダメな振る舞いをいくつかピックアップしたいと思います。これらは、私に限らず、底辺校から難関大学を目指す学生が陥りやすい落とし穴ではないかなとも思うのです。
続きを読むくりぃむしちゅーのANN復活してくれて、ありがとな~
正直今日の朝早かったんですよ。(と言っても7時起きですが)
でも、前日の夜はくりぃむのオールナイトをきいていました。
くりぃむannの復活は、正直言って、この半年で一番嬉しかった出来事です。
消えたitunes
嫌で嫌で仕方のなかった職場の飲み会から帰宅したのは、21時30分を回った頃だった。
僕は、寝不足からくる身体の疲れと、飲み会からくる精神の疲れで憔悴しきっていた。
部屋における僕の定位置である布団の上に転がって、スマホでその日の野球の結果を確認していると、急に眠気が襲ってきた。
僕は、その眠気に身をゆだねることにした。
気が付いたのは、23時過ぎ。おもむろに僕はデスクトップパソコンの電源をつけた。
僕のパソコンはもう10歳を迎える老体なので、起動まで5分ほどかかる。
布団の中でしばらく微睡みを楽しんだ後、パソコンの前に座った。
普段パソコンをつけて、まず始めにすることはitunesを起動して、音楽を流すことだ。
しかし、その日はいつもと様子が違う。
デスクトップに置いているitunesのアイコンがない。
僕は、アイコンが消えただけだと思った。でもどこを探してもプログラムが見つからない。
これまでitunesの紐付けられていた音楽ファイルを確認すると、違うプログラムに紐づいていた。
僕は安易な気持ちで、アップルのサイトを訪れ、itunesをダウンロードを試みた。
15分後、firefoxサイドバーを確認すると、「失敗しました」の文字だけがあった。
その時悟った。もう僕はitunesを卒業するべきときなのだろう。
さようなら、itunes。
そしてこんにちは、Xアプリ。